熊本県熊本市 国内外の産業財産権その他の知財権の手続き及び処理サービスを提供します。<特許・実用新案・意匠・商標等>

知財の窓

商標

商標権を取得する意味は何か

◆商標権は指定商品(または指定役務)について登録商標を独占的に使用できる権利であり、商標選択時に独占使用権を確保し、他人の商標との抵触を生じないことを確実にした状態で使用することが、他人の模倣使用をさせないようにし、かつ事業を安定的に継続していく上で必要だからです。

商標制度の存在理由は何か

◆例えば、商標の選択時に何らの調査や手続も行わずに商品または役務について商標を使用したパンフレット等を配布し、また、自社ホームページに掲載すると、突然、他社から商標権侵害として警告書を受ける等により権利行使を受ける場合があります。逆に、自社商標と同様の商標を使用している他社の存在が判明しても、何らの手続を行なっていない場合には、基本的には手をこまねいて成り行きにまかせるしかない、ということになりかねません。

◆「売れる商品には根拠がある」と言えば、なんとなく納得させられる気になりませんか。商品が売れる要素としては、商品自体の問題もさることながら、商品以外の事柄にも大きく左右されることは否定できません。政治、経済、社会を含む文化という要素、特にそのうちの「流行」という面に消費者は弱いといえます。本来の商品について言うと、商品につけた名前や図形、記号等は商品の提供者を識別させる機能を持ち、これらが基礎となって商品の出所表示、品質保証、広告宣伝機能を有することになります。商品につけた名前や図形、記号等が商標(法律上は「標章」といいます。)の本体です。

◆いったん商品に定着した、商品の提供会社と標章のイメージは、消費者にとっては「標章」のみで商品およびその提供会社を代表して表示する機能に置き換わります。そして、単なる名前、図形、記号等が商品の目印標識である商標として価値を有するようになります。商標は、一定の提供者から流出するものとして商品の出所を表示させ、提供者の製造、販売に係る商品であるものとして商品の品質を保証し、さらに、歩くセールスマンとして商品自体の広告宣伝機能を有することになります。このとき、他人が同様の標章を商品に付して市場提供すると消費者や取引者は混同し、品質保証並びに広告宣伝機能が損なわれることになります。さらには、商標使用者の業務上の信用が損なわれることになります。これは、商標の出願時に指定される対象が商品ではなく、サービスの場合についても同様に言えます。

商標権を取得することで有利になることは何か

◆商標権を取得することにより、自社が選択する商標の独占的使用を確保し、それによって、他人の模倣使用を排除し、商標権に関する係争事件の発生を未然に防止することができます。さらに、良い商標は商品やサービスとの結び付きが強いので譲渡対象となり、場合によっては相当程度の譲渡価額を得る場合があります。さらに、使用許諾契約により使用料収入を得る場合があります。特に、フランチャイズ契約によるチェーン店展開を行う事業形態の場合には、チェーン店の店名などの商標権の取得は必須と言えます。

商標出願時の留意点は何か

◆商標選択の際、つまり出願商標の設定に際し、注意すべき点は(1)自他商品識別力と、(2)既に登録された商標との類似、非類似の判断です。これらの2点の結果でいずれの商標を選ぶべきかがほぼ決まるといっても過言ではありませんが、商標選択は商標使用に差し迫って問題となる場合が多く、一方では出願後に特許庁の審査結果が出されるまでに6ヶ月程度を要する実情があります。このため、現実には出願と同時に使用開始する場合が多く、この点から出願前に商標を選ぶ際の判断が重要となります。安易に商標を選んで事を進めると、他社から思わぬ権利行使を受けたり、半年後に登録を拒絶されて看板、パッケージ、印刷物,WEB表示の作り直しが必要となり、相当の損害を蒙る場合がありますので、注意が必要です。